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自転車事故の損害賠償額はどう決まる!?

こんにちは! えなりかずみです!
前回は、過失割合がどのように決められているか、その目安について、一般的なパターンをお伝え致しました。

当事者たち(とその加入する保険会社)が話し合いによって決めるとされている過失割合ですが、毎年数多く発生する交通事故については、かなりの程度で過失割合の比率がパターン化されている、というお話でしたね。

自転車事故に関する過失割合の基本的な考え方、一般的なパターンがわかったところで、最後に、実際の損害賠償額がどのように決まるのかをみていきましょう。

交通事故によって発生する損害賠償において、どのような項目がどのくらいの金額で請求できるのかは、それぞれ項目ごとに決まっています。
それでは、損害賠償額の内訳について見てみましょう!

損害賠償額の内訳はどうなっている?

交通事故の損害賠償額の内訳は、次のようになっています。

前回までにみた過失割合と合わせると、損害賠償の総支払額は次のような計算式で算出することができます。

損害賠償の総支払額
=(積極損害+消極損害+慰謝料+物損賠償)×過失割合

なんとなくわかるような感じもしますが、積極損害と消極損害って? 逸失利益? 後遺症に対する慰謝料ってどう計算するの?
それぞれの項目について、詳しくみていくことにしましょう。今回はまず、物損から財産的損害までについてご説明したいと思います。

物損

名前の通り、物に与えられた損害、物質的損害のことを物損と呼びます。これはわかりやすいですね。

物損事故の場合には、この物損についてだけが損害賠償の対象となります。たとえば自分の大切にしていた車や自転車を壊されたことの慰謝料を払ってもらいたい!と思うこともあるかもしれませんが、残念ながら法律上は物の損害に対する慰謝料は認められていないんですね。

物損の賠償額は、次のように決まるのが一般的です。

物損の賠償額

修理

交通事故で故障した車などの財産を修理することになった場合、修理費用を請求することができます。請求額については、持ち主が修理業者に見積もりを取ることになります。この修理費はもちろん適正な金額でなければなりません。

買い替え

交通事故で財産が修理不能なほどに壊れてしまった場合、買い替えが必要になることがあります。修理同様、持ち主が見積もりを取り、買い替え費用を請求することができます。
ただし注意しなければならないのは、事故が発生した直前の時点での時価で計算するため、新品で買ったときより安い金額となる場合が多いということです。
また、物理的に修理不能な場合だけでなく、修理費用のほうが自動車の時価を上回るときは修理する合理性がない(経済的全損)として買い替えが妥当とされる場合もあります。

代車料

交通事故で自動車を壊してしまったとき、修理や車の買いかえにかかっている間も、仕事に必要であるとか、通勤・通学ができないといった理由から代車を利用しなければならないという場合があります。公共交通機関で代用できない場合など、代車利用の必要性が高いと判断されれば、代車の使用料も損害として認められ賠償することができます。

積極損害

あまり聞き慣れない言葉ですが、積極損害って?
積極損害とは、交通事故に遭ったことによって被った財産的支出を、損害として扱う、というものです。

代表的なものとしては以下のような費用があげられます。

以上すべてについて、妥当と認められたものなら請求することができます。

また、損害賠償を請求するには各種書類を取得して提出したり、場合によっては弁護士に依頼するといったことが必要となる場合があります。
これらの費用も、適正と認められる範囲で請求することができます(たとえば弁護士費用なら、請求額全体の1割程度までといわれているようです)。

消極損害

事故によって発生した支出を積極損害と呼ぶことに対し、消極損害は、事故によって得られなくなった財産的利益のことを指します。

具体的には、次のようなものです。

休業損害

人身事故によって、入院・通院したり、治療を行うために働けなかった、という損害を休業損害と呼びます。休業損害については、被害者側が収入額を証明することで請求することができます。
職業区分別に、次のような算出基準となっています。

サラリーマンの場合

一日あたりの平均賃金×働けなかった日数が得られたはずの収入額として認められます。
平均賃金は、事故前三ヶ月の給与を平均して算出します。
日数については、休業損害証明書を会社から発行してもらうことで証明されます。

自営業・自由業者

前年度の確定申告で算出します。これより多い場合も証明できれば認められます。

農漁業者

年収を算出し、365日で割って算出します。

幼児・学生・主婦

主婦の場合は女子労働者の平均賃金(国の統計にもとづきます)で算出。
幼児・学生は休業損害を認められません。

死亡による逸失利益

人身事故によって被害者が死亡した場合も、消極損害としては休業損害と同じような考え方となります。ただし死亡の場合、被害者が死亡していることからその生活費が損害賠償額から除かれます
被害者が死亡しているほうが損害賠償額が少ない!? と納得できない気持ちがありますが……法律上はこのようになっているのです。

後遺障害逸失利益

人身事故で身体的障害が残った場合に、この補償をするのが後遺障害逸失利益です。損害賠償の中でもっとも高額となることが多く、後遺障害の等級認定が人身事故における損害賠償交渉における最大のポイントとなっています。

後遺障害逸失利益は次のような式で算出されます。

後遺障害逸失利益=
事故前の年間収入×後遺障害認定等級による労働能力喪失率×労働能力損失期間に対応のライプニッツ係数

耳慣れない非常に難しい用語が並んでいますが(私も勉強するのに苦労しました……)、とりあえず、次のポイントだけつかんでおけば、一般的な理解としては問題ありません。

事故がなければ得られたその他の逸失利益

交通事故によるケガなどを原因とする長期の休業によって出た損害には、ボーナスのカットや減額、定期昇給や昇格での不利益も含めることができます。ただし、なんでも請求できるわけではなく、当該の人身事故によって不利益がもたらされたという強い因果関係の証明が必要です。さまざまな資料や意見、陳述書などが必要とされます。


以上、損害賠償において物理的に発生した財産的損害についてみてきました。交通事故で発生した損害としてどのようなものが認められ、どのように積算されるのか、おおまかにでも理解を深めていただけたなら幸いです!

次回は残りの精神的損害、いわゆる慰謝料についてご説明したいと思います!
→次回【過失割合とは(4)】自転車事故の慰謝料はどう決まる!?


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